甘味は人間が初めて知る味覚

人間が生まれてから初めて口にするものはなんでしょう?答えは、お母さんの母乳です。

胎内では臍の緒から直接栄養をもらっていた赤ちゃんが、生まれてから摂るエネルギー源は、数ヶ月間は全て母乳(もしくはミルク)です。

初期の母乳には甘味成分がありませんが、授乳開始後2週間ほどで糖分を含んだ母乳(成乳)に変わっていくと言われます。これが人間が初めて出会う甘味です。

一説にはこの最初に味わった甘味を忘れられないから、人間は甘味の誘惑に弱いと言われます。

甘味にはストレス緩和作用がある?

山口県立大学看護栄養学部のレポートでは、甘味を摂取することでストレス緩和作用がある可能性を指摘しています。

糖や甘味が精神的ストレス応答に及ぼす影響 | 山口県立大学看護栄養学部

現代人は入ってくる情報量も多く、高度化した社会でストレスを多く感じています。そうしたストレスから身を守る手段として、甘味を用いているのかもしれません。

人類は炭水化物の奴隷?

イスラエルの歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリの著作で、ここ数年で世界的ベストセラーになった「サピエンス全史」では、「ホモサピエンス(人類)は、小麦の奴隷になった」という分析があります。

サピエンス全史

それまで人間は狩猟や採取などでエネルギー源を得ていましたが、農耕を発明したことによって、一日の大半を食物を作ることに費やし、常に小麦などの農耕物の世話をしているからということです。

私たちが大好きなスイーツは、ほぼ全てが農耕物で出来ているため、奴隷を働かせるための麻薬的な存在なのかもしれません。

世界の食事上は農耕と酪農で成り立っている部分が多く、その意味では私たちが生きている社会が、そもそもスイーツを欲する形になっていると言えます。


甘味は、人間にとって重量や役割がある一方、スイーツのように中毒性が高いという側面もあります。

「スイーツは百害あって一利なし」なんてことはないので、適度に楽しむようにしましょう。